「そろそろ借り換えを考えた方がいいのかな…」
金利上昇のニュースを目にするたびに、こうした気持ちが頭をよぎる方も多いのではないでしょうか。
しかし、住宅ローンは一度借りたら30年、40年という長い付き合いになります。焦って判断するのではなく、今の状況を正しく理解した上で、自分たちにとってベストな選択をしなければなりません。
今回は、現在の金利状況と住宅ローンの借り換えについて考察してみましょう。
※この記事には広告リンクが含まれています
Contents
30年ぶりの金利上昇——住宅ローンを取り巻く状況
「金利が上がるかもしれない」というニュースを聞くと、なんとなくソワソワしますよね。まずは今の状況を整理してみましょう。
» 日銀が追加利上げを発表。今、選ぶべき住宅ローンの金利は?

2025年末、日銀が追加利上げを決定
2025年12月、日本銀行は政策金利を0.75%に引き上げました。これは1995年以来、実に30年ぶりの高水準です。
(日本銀行 » 2025年12月金融政策決定会合での決定内容)
日銀は2024年3月に「マイナス金利政策」を解除して以降、段階的に金利を引き上げてきました。背景には物価や賃金の上昇があり、今後も経済が順調なら利上げを続ける方針を示しています。
| 時期 | 政策金利 |
| 2024年3月以前 | マイナス金利 |
| 2024年7月 | 0.25% |
| 2025年1月 | 0.50% |
| 2025年12月 | 0.75% |
変動金利と固定金利、それぞれの動き
変動金利は2026年1月時点で0.6〜0.7%台と、まだ低水準を維持しています。ただし、大手3行(三菱UFJ銀行・みずほ銀行・三井住友銀行)は2026年2月から短期プライムレートを0.25%引き上げると発表しており、多くの金融機関で2026年春以降に基準金利が上がる見込みです。
固定金利はすでに上昇が始まっています。10年固定は2.1〜2.6%台が中心で、前月から0.2〜0.7%上がった金融機関も。フラット35も2.08%と2%の大台を超えました。
住宅金融支援機構の調査によると、住宅ローン利用者の約8割(79.0%)が変動金利を選んでいます。変動金利の動向は、多くの方に影響を及ぼしそうです。
(住宅金融支援機構 » 住宅ローン利用者の実態調査(2025年4月調査))
2026年、さらなる金利上昇はあるのか
多くの専門家は、2026年中にあと1~2回程度は利上げがあるとみています。
日銀は『中立金利』(景気を刺激も冷やしもしない水準)を1.0〜2.5%と推計しており、現在の0.75%にはまだ上げ余地があるとしています。
ただし、金利が一気に上がる可能性は低いとされています。住宅ローン破綻が増えれば経済全体にダメージが及ぶため、日銀としても慎重に判断していくでしょう。
とはいえ、低金利は当たり前という時代が終わりつつあるのは確か。今のうちに情報を整理しておくことが大切です。
(三井住友DSアセットマネジメント » 市川レポート)
(NOMURAウェルスタイル » 野村證券のマーケット解説)
(東京海上アセットマネジメント » Market Report)
借り換えを検討すべき人、しなくていい人
借り換えは誰にでも効果があるわけではありません。自分がどちらに当てはまるか、チェックしてみましょう。

借り換えでメリットが出やすい3つの条件
一般的に、以下の条件を満たすとメリットが出やすいとされています。
| 条件 | 目安 |
| ローン残高 | 1,000万円以上 |
| 残りの返済期間 | 10年以上 |
| 金利差 | 0.3%以上 |
以前は“金利差1%以上”が目安でしたが、現在はネット銀行を中心に金利競争が進んだ結果、0.3%程度の差でもメリットが出るケースが増えています。
ポイントは“残高×期間×金利差”。この3つの数字が大きいほど効果は高まります。逆に言えば、残高が減ってから、あるいは残り期間が短くなってからでは、効果は限定的ということですね。
借り換えしなくて良いケースとは
上記のような条件も踏まえると、以下のような場合は無理に借り換えなくてもよいかもしれません。
・残りの返済期間が5年を切っている
・ローン残高が500万円以下
・すでに十分低い金利(0.5%前後)で借りている
・団信の保障内容に満足している
・転職を控えている、または収入が減少した
すでに変動金利0.5%前後という方は、金利低下の余地が限られます。諸費用を考えると、現状維持が合理的な選択になることも。
また、借り換えには審査があるため、転職直後や収入減少後は通りにくくなります。借り換えを検討するなら、ライフイベントのタイミングも考慮しておきましょう。
金利上昇局面での借り換え、どう考える?
「金利が上がりそうだから借り換えた方がいい?」という疑問への答えは、一概には出てきません。状況によって異なります。

変動金利で借りている場合の選択肢
そのまま変動で様子を見る
金利が上がっても、変動金利には『5年ルール』(返済額は5年間固定)と『125%ルール』(返済額の上限は前回の1.25倍まで)があります。急激な返済額増加は防げますが、利息負担は増えるため、見かけの安心に頼りすぎるのは危険です。
より低い変動金利のローンに借り換える
ネット銀行などでより低い金利が見つかれば、借り換えメリットがあります。金利差0.3%以上を目安に検討を。
固定金利に切り替える
将来の金利上昇リスクをなくしたい場合の選択肢。ただし固定金利はすでに上昇しているため、タイミングの見極めが重要です。
“変動金利→固定金利”切り替えの注意点
金利上昇の順序として、固定金利の方が先に上がり、変動金利は後から追随するのが一般的です。固定金利は長期金利(10年国債利回り)に、変動金利は短期金利(政策金利)に連動しているためです。
つまり、「変動金利が上がってきたから固定に切り替えよう」と思った時には、固定金利はすでに高くなっていることが多いのです。切り替えを検討するなら、変動金利が上がる前がベター。
とはいえ将来の金利は誰にも予測できないため、家計状況や性格(金利変動への不安度)を軸に判断することをおすすめします。
借り換え前に必ず確認したい4つのこと
メリットばかりに目を奪われると、思わぬ落とし穴も。事前チェックで後悔を防ぎましょう。

諸費用を含めた実質的な得を計算する
借り換えには以下のような諸費用がかかります。
・事務手数料:借入額の2.2%程度、または数万円の定額
・保証料:借入額の2%程度
・登記費用:10〜20万円程度
・印紙税:2〜6万円程度
合計で数十万円になることも。金利差だけを見て飛びつくと、諸費用を回収できずに終わってしまうかもしれません。各金融機関のシミュレーションツールなどで、諸費用込みの総返済額を比較するのを忘れずに。
団体信用生命保険の保障内容をチェック
借り換え時は新たな団信への加入が必要です。現在がん保障や3大疾病保障がついている場合、借り換え先で同等の保障がつくとは限りません。条件をよく確認しましょう。
また、健康状態によっては団信に加入できない可能性も。住宅ローンの契約後に大きな病気をしたという方は、事前に審査基準を確認しておくと安心です。
住宅ローン控除への影響を確認
借り換え後も控除は受けられますが、借り換え時に諸費用をローンに組み込むと残高が増え、控除額に影響が出ることがあります。控除期間は当初の入居時から計算され、延長はされない点も覚えておきましょう。
» どうなる?2026年(令和8年)以降の住宅ローン控除
審査に通るかどうかの見極め
借り換えには再度の審査があります。転職して勤続年数が短くなった、収入が減少した、他のローンが増えた、健康状態に変化があった——。こうした場合は審査に通りにくくなることもあるので、要注意。
「借り換えしたい」タイミングで審査に落ちることもあるため、「一度通ったから大丈夫」と安心するのではなく、早めの検討と行動が吉です。
住宅ローン“借り換え”シミュレーション
ここからは、具体的な数字で借り換えで生じる可能性のあるメリット見てみましょう。

[例] 残高3,000万円・残り25年・金利差0.5%の場合
| 項目 | 借り換え前 | 借り換え後 |
| 金利 | 1.1% | 0.6% |
| 毎月返済額 | 約11.5万円 | 約10.9万円 |
| 総返済額 | 約3,450万円 | 約3,270万円 |
毎月約6,000円の軽減、総返済額は約180万円の差に。諸費用60〜80万円を差し引いても、100万円以上のメリットが期待できるケースです。
» 【PR】ローンを見直したい方向け:住宅ローン借り換え一括比較さらに、諸費用を“毎月の軽減額”で割ると、元を取るまでの期間がわかります。
[例] 諸費用70万円、毎月の軽減額6,000円の場合
70万円 ÷ 6,000円 ≒ 約117ヶ月(約10年)
残りの返済期間がこの回収期間より長ければ、借り換えメリットがあると判断できます。
借り換えで迷ったときの判断軸
最後は「うちはどうすべき?」という問いに戻ってきますよね。

夫婦で話し合うときのヒントとして、まずは、家計の余裕度から考えてみましょう。
たとえば、毎月の収支に余裕があり、金利が上がっても繰上返済で対応できるのであれば、借り換えせずに変動金利で継続しても、リスクは限定的で済みます。
しかし、収支がギリギリで返済額増加が厳しいとなると、万が一、大幅に金利が上がった時に返済できなくなる可能性も。そのような家計の状況であれば、あらかじめ固定金利へ借り換えておくことで、安心を得られます。
いずれにしても、「金利が◯%まで上がったら家計はどうなるか」をシミュレーションしておくと、判断の材料になります。
次に、ライフプランとの兼ね合いを考えます。
子どもの教育費、転職、親の介護……今後のライフイベントも考慮しましょう。変化が見込まれる場合は、返済額を固定できる安心感が重要になることも。逆に、収入アップやまとまった資金が見込める場合は、変動金利で攻める選択もあり得ます。
専門家に相談する選択肢も
自分たちだけで判断しきれない場合は、ファイナンシャルプランナー(FP)や住宅ローンアドバイザーに相談するのもひとつの方法。将来的なライフプランも含め、家計全体を見渡したアドバイスがもらえます。初回無料のサービスも多いため、気軽に活用してみてはいかがでしょうか。
30年ぶりの金利上昇局面を迎え、住宅ローンの借り換えを意識する方が増えています。ただ、借り換えは「した方がいい」「しない方がいい」と一律には言えません。残高、残り期間、金利差、家計状況、ライフプラン……さまざまな要素を総合的に判断することが大切です。
まずは「今の条件でシミュレーションしてみる」こと。そこから見えてくる数字が、次のアクションへの道しるべになるはずです。
» 【PR】ローンを見直したい方向け:住宅ローン借り換え一括比較