「住宅ローン控除って、会社の年末調整でやってもらえるんじゃないの?」
そう思っている方、けっこう多いのではないでしょうか。
しかし、住宅ローン控除を利用する方は、初年度だけは自分で確定申告をしなければなりません。会社員であっても、です。
「確定申告」という響きだけで、なんとなくソワソワしてしまう気持ち、よくわかります。でも、安心してください。必要な書類さえ揃えてしまえば、あとは画面の案内どおりに入力するだけ。e-Taxならスマホでも完結します。無料相談なども活用しながら、チャレンジしてみてください。
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住宅ローン控除とは?まずは基本をおさらい

住宅ローン控除(正式には『住宅借入金等特別控除』」)は、住宅ローンを組んでマイホームを取得した人が受けられる税金の優遇制度。毎年の年末時点でのローン残高に対して0.7%が、所得税から直接差し引かれます。
たとえば、年末のローン残高が3,000万円なら、3,000万円×0.7%=21万円。この金額がそのまま所得税から引かれるわけです。所得税だけで引ききれなければ、翌年の住民税からも一部控除されます(上限は課税総所得金額等の5%、最高9.75万円)。
ここでのポイントは、住宅ローン控除が「税額控除」だということ。医療費控除やふるさと納税のような「所得控除」は、所得から差し引いてから税率をかける方式ですが、税額控除は計算後の税金そのものから直接引かれます。
つまり、控除額がほぼそのまま手元に戻ってくる——非常にお得な制度なのです。
なぜ初年度だけ確定申告が必要なの?
「会社員なら年末調整で済むはずでは?」——もっともな疑問ですよね。
しかし、住宅ローン控除を初めて受ける場合は、「私は住宅を取得してローンを組みました」ということを自分で税務署に届け出る必要があります。
この届け出には、登記事項証明書や売買契約書など、会社では用意できない書類が必要。だから最初の1回だけは、自分で確定申告をして「控除を受ける資格がありますよ」と証明しなければならないのです。
初年度の確定申告を済ませると、その年の秋頃に税務署から『住宅借入金等特別控除申告書』が届きます。控除を受けられる残りの期間分(12年分など)がまとめて送られてきます。
2年目以降は、この申告書と金融機関から届く『年末残高証明書』を会社に提出するだけ。年末調整で控除が適用され、12月の給与で還付されます。
つまり、面倒な手続きは本当に初年度だけ。そう思えば、少し気が楽になりませんか?
確定申告の時期と届け出方法
確定申告には期限があります。届け出方法もいくつかあるので、自分に合ったものを選びましょう。

申告期間は2月16日~3月15日(還付申告は1月から)
通常、確定申告の受付期間は2月16日から3月15日まで(土日祝日の関係で前後する場合あり)。ただし、住宅ローン控除のように税金が戻ってくる「還付申告」の場合は、1月1日から受け付けています。
2月後半から3月前半は税務署が混み合う時期。窓口で相談したい場合は、1月中か2月前半に済ませておくと良いでしょう。e-Taxなら、空いている時間に自宅から申告できます。
e-Tax・税務署窓口・郵送、どれを選ぶ?
確定申告の届け出方法は、大きく分けて3つ。それぞれの特徴を見てみましょう。
| 方法 | メリット | デメリット |
| e-Tax | 自宅で完結、24時間対応、還付が早い(約3週間) | マイナンバーカードが必要、初期設定がやや手間 |
| 税務署窓口 | 対面で相談できる、書き方を教えてもらえる | 混雑時は待ち時間が長い、平日のみ |
| 郵送 | ネット環境がなくてもOK、自分のペースで作成 | 届いたか不安、還付まで時間がかかる |
もっともおすすめなのは、e-Tax。マイナンバーカードがあれば、スマホだけで申告が完結します。
国税庁の確定申告書等作成コーナーにアクセスして、画面の案内どおりに入力するだけ。入力ミスがあればその場でエラー表示されるので、間違いにも気づきやすいのがメリットです。
e-Taxなら還付金の振り込みも早く、およそ2~3週間で口座に入金されます。書面提出だと1か月以上かかることもあるので、この差は大きいですよね。
【チェックリスト】初年度の確定申告で必要な書類
確定申告で最も手間がかかるのが、書類集め。届くもの、自分で取得するもの、住宅会社からもらうもの——種類もさまざまです。早めに準備を始めておくと安心ですね。

【必要書類チェックリスト】
| 書類名 | 入手先 | 備考 |
| 年末残高証明書 | 金融機関から届く | 10~11月頃届く |
| 登記事項証明書(建物) | 法務局 | オンライン申請可 |
| 登記事項証明書(土地) | 法務局 | オンライン申請可 |
| 工事請負契約書または売買契約書 | 住宅会社・不動産会社 | コピーでOK |
| 認定通知書・省エネ性能証明書 | 住宅会社 | 認定住宅等の場合 |
| マイナンバーカード | 自分で用意 | 本人確認用 |
| 源泉徴収票 | 勤務先から届く | 作成時に参照 |
1.金融機関から届く書類
住宅ローンを組んでいる金融機関から、住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書が届きます。年末時点でのローン残高を証明する書類で、控除額の計算に必要なもの。
届く時期は金融機関によって異なりますが、多くは10月~11月頃。届いたら確定申告まで大切に保管しておきましょう。届かない場合や紛失した場合は、金融機関に連絡すれば再発行してもらえます。
2.法務局で取得する書類
土地と建物の登記事項証明書が必要。住宅の所有者や床面積などを証明する公的な書類で、法務局で取得できます。
取得方法は窓口、郵送、オンライン申請の3つ。オンライン申請なら手数料も安く(窓口600円に対してオンライン500円)、自宅にいながら請求できるので便利です。法務局の登記・供託オンライン申請システムから手続きできます。
3.住宅会社・不動産会社からもらう書類
注文住宅の場合は工事請負契約書のコピー、建売住宅や中古住宅の場合は売買契約書のコピー。契約時に受け取っているはずなので、引き渡し書類と一緒に保管していないか確認してみてください。
また、認定長期優良住宅やZEH水準省エネ住宅などの場合は、認定通知書や建設住宅性能評価書、住宅省エネルギー性能証明書などの証明書類も必要。見当たらない場合は、住宅会社に問い合わせてみましょう。
4.自分で用意する書類
本人確認書類として、マイナンバーカードが必要。マイナンバーカードがない場合は、通知カードと運転免許証などを組み合わせて使います。e-Taxで申告する場合は、マイナンバーカードがあると手続きがスムーズです。
会社員の方は、源泉徴収票も用意しておきましょう(作成時に参照するもので、提出は不要)。還付金の振込先となる銀行口座の情報もお忘れなく。
確定申告の手順──e-Taxならスマホでも完結
書類が揃ったら、いよいよ確定申告。e-Taxを使った申告の流れを、ステップごとに見ていきましょう。

Step1. 事前準備(マイナンバーカードとアプリ)
e-Taxをスマホで利用する場合は、マイナンバーカードとマイナポータルアプリ(Android版/iPhone版)が必要。アプリをインストールして、マイナンバーカードの読み取り設定を済ませておきましょう。
マイナンバーカードをまだ持っていない方は、申請から届くまで1か月程度かかることもあるので、早めに手続きしておくのがおすすめ。パソコンで申告する場合は、ICカードリーダーが必要です。
Step2. 確定申告書等作成コーナーにアクセス
国税庁のホームページにある確定申告書等作成コーナーにアクセス。「作成開始」をクリックすると、まず申告書の種類を選ぶ画面が表示されます。住宅ローン控除は所得税の控除なので、「所得税」を選択して次へ進めてください。次に「令和7年分」を選び、提出方法を選択していきます。
初めて利用する場合は、利用者識別番号の取得手続きがありますが、画面の案内どおりに進めれば難しくありません。
Step3. 申告書の作成(収入・控除の入力)
まず、源泉徴収票を見ながら給与所得を入力。続いて「住宅借入金等特別控除」の入力画面へ進み、必要事項を入力していきます。
入力する項目は、住宅の取得価額、床面積、居住開始日、年末残高など。手元の書類に記載されている数字をそのまま入力すれば大丈夫です。
Step4. 入力で迷いやすいポイント
入力で迷いやすいポイントをいくつか挙げておきます。
・「床面積」は、登記事項証明書の数字を使用。マンションの場合、チラシの壁芯面積ではなく、登記上の内法面積を入力します。
・「居住開始日」は、実際に住み始めた日。住民票の転入日とは異なる場合があるので注意。
・共有名義の場合は、自分の持分割合を入力。夫婦で2分の1ずつなら「50%」です。
Step5. 内容確認・送信
すべての入力が終わると、確認画面で控除額が表示されます。「これだけ戻ってくるんだ」と実感できる瞬間ですね。内容に問題がなければ、そのまま送信。受付番号が表示されるので、控えておきましょう。
申告書の控えはPDFでダウンロードできます。送信した証拠として保管しておきましょう。来年以降の参考にもなります。
相談しながら進めたいなら確定申告会場へ

「一人で申告書を作るのは不安……」という方には、税務署が開設する確定申告会場へ。確定申告期間中、税務署内または署外の会場で、職員に相談しながら申告書を作成できます。
ただし、利用にはオンラインでの事前予約が必要です。予約なしで行っても当日受付してもらえないことがあるので注意。一部の税務署では、確定申告期間中の日曜日に開催している会場もあります。詳しくは国税庁のホームページで「確定申告会場のお知らせ」を確認してみてください。
なお、市区町村が主催する税理士の無料相談会もありますが、「住宅ローン控除の初年度」は対象外となっているケースが多いようです。初年度の申告は書類も多く内容が複雑なため、税務署の確定申告会場を利用する方が確実でしょう。
確定申告が終わったら──還付金と2年目以降の流れ
確定申告を終えたら、あとは還付金が届くのを待つだけ。2年目以降の手続きについても確認しておきましょう。
還付金はいつ届く?
e-Taxで申告した場合、還付金は約2~3週間で指定口座に振り込まれます。書面提出だと、1か月~1か月半程度かかることも。
処理状況はe-Taxの「メッセージボックス」で確認できます。「還付金の処理状況」という通知が届いたら、振り込み予定日がわかります。
税務署から届く控除申告書
初年度の確定申告を済ませると、その年の10月頃に税務署から『住宅借入金等特別控除申告書』が届きます。控除を受けられる残りの期間分(新築なら12年分)がまとめて送られてきます。
毎年1枚ずつ使い、年末調整の際に会社へ提出します。紛失すると再発行に時間がかかるので、『住宅借入金等特別控除申告書』届いたらファイリングして大切に保管しておいてください。
2年目以降は年末調整で完結
2年目以降は、税務署から届いた控除申告書と、金融機関から届く年末残高証明書を会社に提出するだけ。年末調整で控除が適用され、12月の給与で還付されます。確定申告の手間は、本当に初年度だけで済むのです。
つまずきやすいポイントQ&A
住宅ローン控除の確定申告で、よくある疑問をまとめました。

Q. 年末残高証明書が届かない場合は?
通常、10月~11月頃に届きますが、届かない場合は金融機関に連絡を。再発行してもらえます。年末に繰上返済をした場合など、タイミングによっては届くのが遅れることもあります。
Q. 夫婦でペアローンを組んでいる場合は?
ペアローンの場合、夫婦それぞれが確定申告を行います。それぞれのローン残高に対して控除を受けられるので、持分割合に応じた控除額に。書類も2人分必要になるので、早めに準備を始めましょう。
Q. 入居した年に転勤が決まったら?
単身赴任で家族が住み続ける場合は、住宅ローン控除を受けられます。ただし、家族全員が転居して誰も住まなくなる場合は、その期間は控除を受けられません。再び戻って住み始めれば、残りの期間の控除を受けることができます。
Q. 申告期限に間に合わなかったら?
還付申告は、確定申告の期限を過ぎても5年間はさかのぼって申告できます。ただし、申告が遅れればそれだけ還付金の受け取りも遅れます。書類が揃い次第、早めに申告することをおすすめします。
Q. ふるさと納税や医療費控除と併用できる?
併用は可能です。ただし、ふるさと納税のワンストップ特例を使っていた場合、確定申告をするとワンストップ特例は無効に。確定申告で改めてふるさと納税の寄附金控除を申告する必要があるので、寄附金受領証明書を用意しておきましょう。
Q. 住宅ローンを借り換えた場合は?
借り換え後も、一定の条件を満たせば引き続き控除を受けられます。借り換え後のローンの返済期間が10年以上あること、借り換え後のローン残高が借り換え前の残高以下であることなどが条件。詳しくは借り換え先の金融機関に確認してみてください。
早めの準備で、余裕をもって申告を

住宅ローン控除の確定申告、最大のハードルは書類集め。必要な書類さえわかっていれば、あとはひとつずつ揃えていくだけです。年末残高証明書が届いたら「そろそろ準備を始めよう」と思い出すきっかけにしてください。
書類さえ揃えば、e-Taxでの申告自体は30分~1時間程度で完了します。「やってみたら意外と簡単だった」という声も多いですよ。
初年度を乗り越えてしまえば、来年からは年末調整だけ。還付金は住宅購入後の家計の大きな助けになります。せっかくの制度、忘れずに活用してくださいね。
※本記事は令和8年度税制改正大綱(2025年12月閣議決定)に基づいて作成しています。制度の詳細は国税庁・国土交通省の公式サイトで最新情報をご確認ください。