大規模なリフォームやリノベーションを考えた時、まず引っかかるのがコストの問題。その次にネックになるのが、『仮住まい』の問題ではないでしょうか。引っ越しの労力や費用の負担を考えると、できれば仮住まいはしたくないものです。
では、実際に住みながら工事を進めることは可能なのでしょうか?
もし、どうしても仮住まいが必要だとしたら、どのように転居先を探せばよいのでしょうか?
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仮住まいは基本、必要

部分的なリフォームであれば、住みながらでもまったく問題ありません。たとえば、キッチンとちょっと間取り変更であれば、生活スペースを残しながら工事を進めることも可能です。
しかし、キッチン・浴室・トイレといった生活に欠かせない設備を含む大規模工事では、仮住まいはやっぱり必要です。仮に1階だけの工事で、2階に生活の場を移すとしても、水道や電気が止まる期間もありますし、埃や騒音も避けられません。小さな子どもや高齢者、ペットがいるご家庭では、特に心身の負担が大きくなります。
施工会社にとっても、家主が住んだままの工事は作業スペースや時間の制約が多く、セキュリティや騒音の問題など気を遣う場面も少なくありません。当然、作業効率は下がりがちで、工期が長引くリスクもあります。
つまり仮住まいは、住まい手の快適さだけでなく、工事の品質やスケジュールを守るためにも有効な選択肢なのです。
仮住まい、どうやって探す?費用は?
仮住まいが必要となったときのために、探し方や費用をあらかじめ知っておきましょう。

仮住まいの種類と費用比較
仮住まいにはいくつかの選択肢があります。代表的なものと費用感をまとめると以下のとおりです。
- 賃貸物件:月7万円前後×工事期間+敷金・礼金など初期費用(10〜20万円程度)
- ウィークリー・マンスリーマンション:家具・家電付きで月10万円前後、短期滞在に便利
- ホテル・民泊:1泊5,000円程度、数週間以内の短期間向き
- 実家や親戚宅:費用は抑えられるが、プライバシーや生活リズムの違いが課題
家族構成や工事期間によって選択肢は変わります。例えば、2〜3か月規模なら賃貸やマンスリーが現実的。数週間ならホテルや親族宅を活用する人も少なくありません。
短期の賃貸物件を探すのは容易ではありませんが、長期物件であっても、きちんと不動産会社に足を運んで直接交渉することで、入居可能な場合もあります。引っ越しの集中する3月・9月を避けた工事スケジュールを組むことで、交渉を有利に進められるかもしれません。
また、リフォーム会社によっては仮住まいの手配に慣れていることもあるので、まずは担当者に相談してみるとよいでしょう。

仮住まい探しのタイムライン
仮住まい探しは計画的に進めることが成功の鍵です。リフォーム工事が決まったら、以下のスケジュールを参考に準備を始めましょう。
▶工事開始の半年前:リフォーム計画を固める
まずは工事内容と期間の目安を把握します。「2ヶ月間の仮住まいが必要」「水回り工事で1ヶ月程度」など、具体的な期間が分からないと物件も探せません。この段階で、住みながら工事ができるかどうかの判断も行います。
▶工事開始の3ヶ月前:物件の候補をリストアップ
不動産会社に短期契約可能な物件を確認してもらいます。一般的な賃貸は2年契約が基本なので、「2~3ヶ月の短期でも借りられる物件」に絞って探してもらうことが重要です。この時期なら選択肢も多く、条件の良い物件を見つけやすくなります。
▶工事開始の1ヶ月前:契約・手続きを完了
リフォーム工期と照らし合わせて、入居日と退去日を決定し契約を結びます。工事が予定より延びる可能性も考慮して、少し余裕を持った契約期間にしておくと安心です。
▶工事開始の2週間前:引越し準備を開始
荷物を「仮住まいに持参するもの」「工事期間中は不要なもの」に仕分けします。工事に支障が出る家具は先に仮住まい先へ移動させ、本格的な工事に備えます。
このように段階を踏んで準備することで、慌てることなく理想的な仮住まいを確保できます。
仮住まいせずリフォーム・リノベーションする方法
どうしても仮住まいを避けたい場合は、工事の進め方を工夫したり、仮設を利用したりする方法があります。

方法1:段階的に工事する
工事を一度に行わず、生活スペースを確保しながら段階的に進める方法です。たとえば「まず水回りと和室、その後リビング」というように工区を分けます。
仮住まいは不要ですが、工期が延びることで人件費や仮設工事費がかさみ、総費用は上がる可能性があります。
方法2:仮設で対応する
敷地に余裕がある場合は、プレハブを設置して一時的に暮らすことも可能です。水道や電気を引き込めば、数か月の生活にも対応できます。別棟の倉庫や車庫がある場合、その建物の一部を簡易リフォームして住まいとするケースもあります。
「同じ敷地内で生活できる」という点は安心感が大きく、引っ越しの負担が小さいのもメリット。ただし、真夏や真冬など生活しやすい季節は避けましょう。
住みながらリフォーム・リノベする場合の注意点

住みながらの工事は、便利さと不便さが紙一重。快適に乗り切るための注意点を押さえておきましょう。
たとえば、生活に必須の設備はできるだけ最後まで残し、段階的に施工を進めることで、暮らしの動線を確保できます。水回りや寝室の使えるタイミングを事前に確認しておくと安心です。
小さな子どもや高齢者を騒音や埃から守る工夫や、工事が長引く場合は近隣への配慮も忘れずに。
簡易キッチンや仮設トイレを設置してもらうほか、入浴などは近隣の銭湯やジムを利用するのも一案です。ちょっとした工夫で不便さを大きく和らげられます。
また、住みながら工事は敬遠するリフォーム業者も少なくありません。住みながらの工事経験が豊富なリフォーム業者であれば、スケジュール調整もスムーズ。「仮住まいせずに工事したい」という要望を快く受け入れ、協力的な姿勢を見せてくれる業者を選びましょう。
家族の意向も聞き、最適な判断を

リフォーム・リノベーションにおいて「仮住まいするか、住みながら進めるか」は費用や工期だけでなく、家族の暮らし方や健康状態によっても変わります。
子育て世帯、高齢者のいる家庭、在宅ワーク中心の暮らしなど、それぞれに適した選択肢は異なります。仮住まいは費用負担が大きい反面、快適さと安全を守る有効な手段。逆に住みながらの工事は費用を抑えられますが、生活にストレスがかかることもあります。
大切なのは、家族全員で意向を共有し、納得感のある判断を下すこと。そうすることで、工事中も安心して暮らし、完成後の住まいにより大きな満足を得られるのではないでしょうか。