「土地が見つからない」
「もう探すのに疲れた」
ネットで毎日物件をチェックして、休日には不動産会社や現地を回って、それでも「これだ!」という土地に出会えない。最初はワクワクしていたマイホーム計画が、いつの間にか重い義務のように感じられ、夫婦間にも「本当に家を建てられるのかな…」という不安が漂い始めます。


なぜ、”土地難民”になってしまうのか?

土地探しで行き詰まってしまう原因は、実はパターン化されています。多くの人が陥りがちな”土地難民”の特徴を詳しく見てみましょう。


条件を譲れない

まず多いのが、条件を盛り込みすぎて候補が挙がらないパターン。

「駅から徒歩10分以内」
「南向きで70坪以上」
「小学校まで徒歩10分以内」
「徒歩圏内に公園やスーパーがある」
「新興住宅地」
「予算は3000万円以内」

こんなふうに理想の条件を並べていくと、該当する土地はほぼゼロに。とくに人気エリアでは、すべての条件を満たす土地は存在しないと考えた方がよいでしょう。

ネット情報に頼る

次に、ネット情報に頼りすぎて鮮度の高い情報を逃してしまうケース。不動産情報サイトは便利ですが、掲載されている土地はすでに多くの人の目に触れています。本当にいい土地は、ネットに出る前に売れてしまうことも多いため、不動産会社へも足を運ぶようにしてください。

決断できない

「ここ、いいかも?」と思う土地が出てきても、決断できない。迷っているうちに売れてしまい、後悔する。その繰り返し。自分の判断力に自信がないと、ついつい「本当にここで大丈夫?」という思いが頭をよぎり、決断のタイミングを逃してしまいます。


土地探し「どこに行けばいい?」問題

“土地難民”にならないためには、プロの力を借りながら、効率的に土地を探す必要があります。


不動産会社

土地探しのメインは、やはり不動産会社です。ネットの物件検索も有効ですが、対面で探すことで非公開情報や最新情報を得られます。希望エリアに強い不動産会社、物件数を多く持つ会社を2社程度訪ねるのが効率的です。

大手不動産会社

大手不動産会社は取扱い土地情報が豊富で、検索システムも充実しています。大手フランチャイズ系の不動産会社も同様に物件数が豊富で、フランチャイズ本部のネットワークを活用した幅広い土地情報にアクセスできます。物件数が多ければ、それだけ自分に合った土地と出会える確率も高まるということ。情報収集のためには、まず大手不動産会社・フランチャイズ系の不動産会社とコンタクトをとりましょう。

地域密着型の不動産会社

一方、地域密着型の不動産会社は地元の情報に詳しく、掘り出し物件を持つことも少なくありません。信頼関係ができれば、まだ市場に出ていない非公開の土地情報を教えてもらえることもあるでしょう。さらに、地主との距離が近く、土地の価格交渉がしやすいという利点も。
地域密着型の大きな強みは、特定のエリアに精通していること。地域のつながりが深いので、そのエリアに関しては大手不動産会社より物件数があることも。特定のエリアで土地を探している人は、ぜひそのエリアに強い不動産会社へ足を運んでみてください。


ただし、不動産会社に”敬遠されるお客”になってしまうと、よい情報は教えてもらえません。たとえば、土地の情報は欲しがるのに自身の個人情報や予算を明かさない人。本気を見せない人は、不動産会社からも相手にされません。
そして、条件が曖昧すぎる人。「高すぎない土地なら、どこでもいい」といわれても、紹介のしようがありません。不動産会社もボランティアではないので、少しくらい条件を絞り込む努力を。
それとは逆に、条件が多すぎるのも困りもの。エリア、価格、面積、向き、周辺環境――ひとつも譲れない。こういう人はまず、「100点満点の土地はない」ということを頭に叩き込んでおきましょう。

ハウスメーカー・工務店

『建築条件付き』は別として、ハウスメーカーや工務店に土地探しを依頼したところで、彼らも協力関係にある不動産会社へ土地探しを依頼するだけ。当然、ネットに出てくる以上の目新しい情報は出てきません。
それでも、土地探しと並行して住宅会社ともコンタクトをとるようにしてください。彼らの強みは“土地を探すこと”ではなく、建築の視点で“土地を見極める”こと。

・高低差を解消するための造成費がどのくらいかかるか
・道路や隣家との距離をどれくらいとれるか
・日当たりや風通しは確保できるか
・希望する間取りが無理なく収まるか

こうした建築の視点は、不動産会社ではカバーできない部分。気になる土地を見つけたら、まず住宅会社に相談を。


 効率よく“よい土地”を探すためのコツ

土地探しを効率化するためのコツをまとめてみましょう。



条件の絞り込み

土地探しにおいて、本当に大切な条件は3つだけ。

・エリア
・予算
・面積

エリアは生活の質に直結しますが、そのほかの条件は設計力のある住宅会社ならプランニングでいくらでも消化できます。
必要な予算や面積は自己判断ではなく、住宅会社に相談して決めましょう。
もちろん、それ以外の条件をリストアップするのは問題ありませんが、郵船順位をつけておくことを忘れずに。

予算配分の考え方

予算は土地代だけでなく、注文住宅を建てるのに必要な総額で考える必要があります。土地代、建物代、諸費用を3対5対2程度の割合で配分し、月々の住宅ローン返済額から逆算して現実的な数字を出しましょう。
ただし、住宅に求めるものが多ければ、それだけ住宅にかかる費用は大きくなります。建物を重視するのであれば、郊外の土地や変形地など土地予算を押さえる方法を考えましょう。
予算配分を考える際には、気に入った住宅会社で希望を伝え、概算金額を出してもらうことをおすすめします。

現地を歩いてみる

図面や写真だけで、本当のことはわかりません。土地を決める前に、必ず現地を歩いて雰囲気をチェックしましょう。
同じ土地でも時間帯によって印象は変わりますから、時間を変えて何度か足を運んでください。朝の通勤・通学ラッシュの様子、近隣住民の生活音、子どもや高齢者の多さ、交通量と騒音レベル、夜は街灯の明るさや治安など。
雨の日や雨上がりに土の上を歩いてみると、地盤の状態がわかりやすいため、天気の悪い日にも足を運んでみてください。

土地の現況を知る

土地の現況は付帯工事費にも影響します。信頼できる住宅会社にも協力してもらいながら、できる範囲でチェックしておきましょう。

・境界票の有無
・道路面や隣家の敷地との高低差
・インフラ整備の有無
・建ぺい率、容積率、高さ制限、前面道路幅などの法規制
・地盤の強さ、災害リスク

地盤の強さや災害リスクは、ハザードマップで確認することをおすすめします。


本当に “よい土地”って、どんな土地?


最後に、”よい土地”とは何かについて考えてみましょう。
どんなに条件を絞っても、すべてを満たす完璧な土地はありません。立地が良ければ価格が高く、価格が手ごろなら何かしらの制約があります。
大切なのは、ご自身にとってのよい土地を見つけること。家族の生活スタイルや価値観によって、”よい土地”の定義は変わります。100点満点の土地は存在しない現実を知り、あなたとご家族にとって最良の土地を選びましょう。その場所で過ごす未来の生活を想像して、ワクワクできる。それこそが、あなたにとっての”よい土地”です。
そのために必要なのが、“不動産のプロの情報量”と“建築のプロの視点”の二つを、うまく活用すること。この二つがあれば、土地選びで大きな失敗をすることはないはずです。