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無垢フローリングとは?

一般的に使用されている合板フローリングは、薄くスライスした板材を接着剤で何層も貼り合わせた集成材に、表面に木目をプリントした化粧シートを貼り付けたもの。それに対し、無垢フローリングは丸太から切り出した、そのままの状態の一枚板でつくられており、木そのものの質感や香りを楽しめます。
無垢フローリングのメリット
そんな無垢フローリングですが、木の質感を楽しめる以外にどのようなメリットがあるのでしょうか。
体にやさしい

無垢フローリングは接着剤を使用しないため、シックハウス症候群の原因となる化学物質の発生が少ないのが特徴。だから、小さな子どもやペットのいるご家庭、アレルギー体質の方でも、安心して取り入れることができます。
ただし、せっかくの天然素材を使ったフローリングも、化学塗料を塗布してしまったら意味がありません。無垢フローリングを採用する場合は、塗料も自然由来のものにこだわりましょう。
心にやさしい

無垢材にはフィトンチッドという香りの成分が含まれています。フィトンチッドは植物が外敵から身を守るために放出する物質であり、抗菌・殺菌などの効果のほか、気持ちをリラックスさせる作用もあるといわれています。
さらに、自然の木目には1/fゆらぎによるリラックス効果もあります。1/fゆらぎとは、規則的なリズムのなかに不意に紛れ込む不規則なリズムのこと。木漏れ日や川の流れ、雨音といった自然の音や動きのほか、心臓の鼓動やクラシック音楽、人の声にも含まれています。
蓄熱性

無垢材は無数の小さな孔をもつ多孔性で、それゆえに熱を伝えにくい性質があります。それでも、冬場は裸足で歩けばヒヤッとしますし、決して「暖かい」とはいえませんが、室内の暖房を入れてしばらくすると無垢の孔が蓄熱効果を発揮します。
熱をため込んだ無垢フローリングはすぐに素足でペタンと座り込んでも冷たさを感じず、暖房を切ったあともしばらく放熱を続けます。
調湿作用

木は、丸太から切り出され、板材になったあとも生きて呼吸をし続けます。そして、呼吸をするのと一緒に、湿度が高い時には無垢材にある無数の孔が水分を吸収し、空気が乾燥してくると水分を放出します。
そのようにして、無垢フローリングは自然の調湿作用により、一年を通じて室内の快適湿度を保ってくれます。
経年変化
表面に刻まれた本物の木目には、一つとして同じものがありません。使い込むほどに色味が変化し、風合いが増して、住まいとともに成長していくのも無垢フローリングの大きな魅力です。
修復しやすい
無垢は合板に比べてやわらかく、傷がついたり凹んだりしやすいものの、一枚板という特徴を活かしてヤスリで削ったり、アイロンで蒸気を当てたりすることで、自分でも簡単に修復できるのは、むしろメリットといえるのではないでしょうか。
無垢フローリングのデメリット

無垢フローリングのメリットは、裏を返せばメリットとなることもあります。
たとえば、水分を吸ったり吐いたりするたびに、無垢材は膨張や収縮を繰り返します。湿度の高い夏場は膨張し、乾燥する冬になると収縮する。施工の際には、それを見込んでクリアランス(隙間)を設けるなどの対応が必要になってきます。
また、無垢材は基本的に水気に弱くシミになりやすいので、水分をこぼした際にはすぐに拭き取ってあげましょう。
無垢フローリングは合板のフローリングに比べて価格が高めというのも敬遠される理由のひとつですが、耐久性が高く、大切に手入れをしてあげれば半永久的に使えるため、長期的に見た場合のコストパフォーマンスは悪くありません。
無垢材の種類と特徴
無垢フローリングにはさまざまな木材が使われていますが、よく使われている樹種をいくつかご紹介します。

オーク
硬くて丈夫で、耐久性に優れています。はっきりとした美しい木目と重厚な質感が特徴。

ウォールナット
深みのあるダークブラウンが高級感のある仕上がりに。やわらかめで、やや傷がつきやすい。

パイン
やわらかく傷はつきやすいですが、節の表情が豊かで、明るくナチュラルな雰囲気が人気。

ヒノキ
強度が高く、防虫・抗菌作用があり、香りが良いのでリラックス効果にも期待できます。

スギ
適度なやわらかさを持つ。落ち着いた色味と木目は、和風や和モダンにもぴったりです。

クリ
硬く丈夫で、耐久性は抜群。大らかで落ち着いた印象の木目が美しく、根強い人気があります。
無垢フローリングの維持管理
無垢フローリングの日常的なお手入れと、季節ごとの管理方法について見てきましょう。
日常的なお手入れ方法
無垢材は水に弱いので、水拭きは最小限に。乾拭きを基本にします。
水拭きしたい時には、あらかじめ掃除機で埃やゴミをしっかりと取り除いてから、固く絞った雑巾で長手方向に向けて水拭きを。最後に必ず、乾いた雑巾で乾拭きしてください。
定期的にワックスやオイルをすることは、フローリングの表面を保護するだけでなく、無垢の美しさを長く保つことにもつながります。
また、冬は無垢が収縮する時期なので、この時期はできるだけ小まめに掃除機がけをして、隙間にゴミや埃をため込まないように気を付けましょう。無塗装またはオイル塗装の無垢フローリングは着塵剤との相性がよくないため、化学モップの使用は避けてください。
無垢フローリングは、手をかけるほどに魅力が増す素材です。適切なメンテナンスをしながら、その温もりや風合いを楽しんでいきましょう。

季節ごとの管理方法
どうしても無垢フローリングの膨張や収縮が気になるときは、季節や室温に応じてお部屋の中の湿度を調整してあげます。
夏場は湿気が多いので、できるだけ換気を意識し、エアコンや除湿器を活用して除湿をする。乾燥しやすい冬場は、加湿器を置いたり、洗濯物を室内干ししたりするなどして、適度な湿度を保つ。
一般的に、快適湿度は40~60℃といわれています。自然の調湿作用は無垢材がもつメリットのひとつですが、地域や季節、住まい方によっては適湿の維持が難しいこともあるでしょう。とくに家を建ててから数年は伸縮しやすいため、床鳴りが気になる方は湿度の徹底管理を。
かつては床暖房を使うと熱や乾燥によって無垢材が反ったり、割れたりするといわれていましたが、今は特殊な処理のされた床暖房対応の無垢フローリングもかなり種類が増えました。床暖房を採用するのであれば、床暖房に対応した無垢フローリング製品を使用するようにしてください。
無垢床で心地よい暮らしを

素足で歩くと感じる、すっきりとした木の質感。
自然の素材感がサラリと美しい室内。
木の香りの中、リラックスしながら過ごす時間。
年月の経過とともに飴色に変化し、深みを増してゆく無垢の床には、長い時間を共に過ごすほどに愛着がわいてきます。
合板フローリングにはない無垢の魅力、自然の美しさと機能性をあわせた持った無垢フローリングを、ぜひお試しください!