「この先の人生、自分らしく暮らせる場所がほしい」
そんな想いを抱いて、“自分だけ”で暮らす家を建てる女性が増えています。

結婚しない人生を選んだ方。
配偶者との離別という、人生の転機を迎えた方。
子育てを終え、夫との死別を経験した方。
そんな、さまざまなバックグラウンドを持ちながら「自分の家を建てたい」と考えるに至った女性たち。

女性が1人で暮らすための戸建て住宅は、もはや特別なものではありません。時代とともに価値観が多様化し、「家族と暮らすための家」から「自分らしく生きるための家」へと、住まいに対する価値観も変わってきています。

1人暮らしの家を建てる女性が増えている

1人暮らしで注文住宅を建てる女性が増えた背景には、価値観の多様化とライフスタイルの変化があります。
ほんの数年前までは、「家は男が建てるもの」「戸建て住宅は家族で住むもの」という固定観念がありました。しかし、今は結婚せずにキャリアを築く女性、離婚を機に新しい人生をスタートさせる女性、配偶者との死別を経て1人の時間を取り戻した女性など、それぞれが「これからは自分のために生きたい」「そのための、自分の居場所をつくりたい」という想いを持って、賃貸や分譲マンションではなく「注文住宅を建てる」という選択をしています。

また、「自分の居場所をつくりたい」というニーズが顕在化してきているのは、女性の社会進出や経済的自立が進んだ証でもあります。賃貸住宅での暮らしも悪くありませんが、「家賃を払い続けるなら、自分の資産になる家を」と考えるのも、ごく自然なこと。
もしかすると、老後の住まいを早めに確保しておきたいという現実的な理由もあるのかもしれませんね。

資金計画は?女性1人でも大丈夫?

「女性1人でも、住宅ローンを組めるの?」
そんな不安を抱く方も多いでしょう。

結論からいえば、安定した収入があれば女性1人でも住宅ローンは組めます。勤務状況や収入の安定性が重要な判断材料となるため、正社員として働いている方や、安定した自営業を営んでいる方なら性別は関係ありません。とくに、フラット35などの長期固定金利住宅ローンは、金利変動のリスクがないため将来の返済計画が立てやすく、シングルの方にも利用しやすい制度として注目されています。

りそな銀行の女性向け住宅ローン『凛 lin』フラット35(機構買取型)のほか、芝信用金庫の『フェリーチェ』や埼玉縣信用金庫の『SHINUS(シャイナス)』など、地方銀行でも女性向け・女性専用の住宅ローンを扱っている場合があるので、調べてみてください。

また、資金計画を立てる際は、定年後のことも見越して考えることが大切です。現在の収入だけでなく、退職金や年金受給額も含めた生涯収支で計算しましょう。無理のない返済計画を立てるためには、月々の返済額を手取り収入の20~25%程度に抑えるのが理想的。
さらに、住んでからかかる費用を見込んでおくのも忘れずに。固定資産税や都市計画税、建物の維持管理・修繕費用なども住宅費の一部。年間で数十万円程度は必要になると考えておいたほうがよいでしょう。とくに1人暮らしの場合、将来的な修繕やメンテナンスも自分で対応しなければならないため、余裕をもった資金計画が重要になります。

女性の1人暮らし、どんな家がいい?

それでは、女性の1人暮らしには、どれくらいの大きさの家が必要なのでしょうか。間取りも、家族と暮らす家とはまた違ったものになるはずです。

1人の家、広さはどれくらい?

1人暮らしの家なら、延べ10~15坪(約35~50㎡)前後が目安。これは1LDK程度の広さに相当し、1人が快適に暮らすには十分な広さです。昨今の一般的な戸建て住宅が30坪程度であることを考えると、その3分の1から半分以下のサイズということになりますが、通常3~4人家族で暮らしていることを思えば、10坪程度でも必要な機能は十分に確保できるでしょう。

1人暮らしの女性にとって、コンパクトな住まいには多くのメリットがあります。
たとえば、掃除の手間が少なく、メンテナンスも楽になるため、年齢を重ねてからも負担が少なくて済みます。冷暖房費や維持管理にかかる費用を抑えられるため、その分を旅行や趣味に使えるという経済的なメリットもあります。

ただし、家は極限まで小さくすればよいというものでもありません。友人を招くスペースや趣味に使う空間を確保するなど、遊び心は忘れずに。必要なものだけに囲まれたシンプルな空間は、心の余裕も生み出してくれますが。

1人暮らしに最適な間取りは?

コンパクトな空間を最大限に活用するには、仕切りのないワンルームタイプが理想。空間に区切りがないことで際の面積以上に広々と感じられ、LDKと寝室の境界をあえてなくすことで、生活動線もシンプルに、より暮らしやすくなります。
来客時を考えて寝室だけ目隠しするのであれば、格子やすりガラスの建具を活用したり、小屋裏空間を使ってロフト風の2階を設けるなど、完全に仕切らず、緩く区切る工夫を。

また、将来的に在宅勤務が必要になったり、介護が必要になったりした場合を考えて、可変性のある空間設計も意識しましょう。
1人暮らしの家は、複数人で生活動線を共有したり、家族間でのプライバシーを考慮する必要がないため、より自由な設計が可能になります。

防犯・災害への備えは万全に

女性1人の暮らしでは防犯・災害対策が、より重要になります。自分の身は、自分で守る。自身の安全は、自身で確保する。そのためにも、住まいには最低限の備えを。

1人暮らしの防犯対策

まず、玄関や窓の配置には十分配慮しましょう。外からのプライバシーも大切ですが、完全な死角ができてしまうと、侵入経路をつくることになってしまいます。
侵入しやすい場所・大きさの窓には防犯ガラスを使用する、格子を取り付けるなどの対策も。掃き出し窓をなくし、すべての窓を腰高にするのも一案です。

そのうえで、センサーライト、オートロック機能付きの玄関ドア、録画機能付きインターホンなどの設備も検討を。設備は不審者の侵入を防ぐだけでなく、住む人の安心感も高めてくれます。
» 外構計画で考える、新築一戸建ての防犯対策

災害時は在宅避難を視野に

女性が避難所で1人生活するのは、とても大変です。プライバシーや生理の問題、性被害なども後を絶ちません。
だから、有事の際には在宅避難を前提に、備蓄品を保管するスペースを確保しておくことが大切です。食料や水、医薬品、懐中電灯、ラジオなどの防災用品を定期的に点検・更新できるよう、収納スペースを検討しましょう。

土地選びの段階から、災害リスクを考慮することも重要です。ハザードマップで浸水リスクや土砂災害リスクを確認し、避難所までの経路も事前にチェックしておきましょう。もちろん、建物の耐震性能や耐火性能にもこだわりたいところ。
常時の連絡体制や、近隣との関係づくりも含めて、総合的な防災対策を考えておきましょう。
» 能登半島地震から1年、改めて耐震基準を知る

わたしの人生に、わたしの家を

誰かのためではなく、自分のための家。それは決して、わがままなことでも贅沢でもありません。人生の後半を心から楽しむための”拠点”として、自分らしい住まいを持つことは、とても価値のある選択です。
朝起きて、自分好みの空間で1日をスタートする喜び。夜帰宅して、心から落ち着ける場所がある安心感。そんな日常の小さな幸せの積み重ねが、人生をより充実したものにしてくれるはずです。

「今、第二の人生が見えてきた」という方。自分らしい住まいのかたちを見つける第一歩を踏み出してみませんか?
あなたの人生に、あなただけの特別な家を。きっと新しい扉が開かれるはずです。