2024年(令和6年)元旦に発生した能登半島地震から、約1年が経過しました。被災地の復興は、いまだ道半ば。そんな中、先日11月26日には再び震度4の地震が発生し、能登の人々を苦しめています。
この震災から私たちが学ぶべき教訓とは何なのでしょうか。
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能登半島地震が教えてくれたこと

令和6年能登半島地震ではマグニチュード7.6という大きな力により、石川県能登地方を中心に甚大な被害をもたらしました。
住宅被害に関していうと、石川県内だけで約6,000棟が全壊。約18,000棟が半壊しています。
(内閣府»防災情報ページ » 令和6年能登半島地震に係る被害状況等について)
とくに顕著だったのは、旧耐震基準で建てられた古い木造建築物の被害で、全体の19.4%(662棟)が倒壊・崩壊。一方で、新耐震基準に適合した木造建築物の倒壊率は5.4%(48棟)、2000年基準で建てられた木造建築物の倒壊は0.7%(4棟)にとどまっています。(新建ハウジングより)
この結果からも、築年数の古い家を建て替えや耐震リノベーションによって現行の耐震基準に適合させることの重要さがうかがえます。
日本における耐震基準の変遷

前章で『旧耐震基準』『新耐震基準』『2000年基準』という3つの耐震基準と、能登半島地震におけるそれぞれの倒壊率についてお伝えしました。この3つの耐震基準について、もう少し詳しく説明していきます。
1948年(昭和23年)6月に起きた、福井地震。このときの被害を受けて、1950年(昭和25年)に建築基準法が制定され、国内で初めて木造住宅の耐震基準が規定されました。これが現在『旧耐震基準』といわれている基準です。
大きなターニングポイントとなるのが、1981年(昭和56年)の建築基準法改正。
1978年(昭和53年)6月に発生した宮城県沖地震を契機に、耐震基準の見直しが行われました。これが『新耐震基準』。
最後に『2000年基準』ですが、これは1995年(平成7年)1月の阪神・淡路大震災の被害状況を受けて、木造の設計基準に変更が加えられたもの。これによって、木造住宅の耐震性が大幅に向上しました。
これが、住宅の耐震化における2つ目のターニングポイントです。
| 建築確認の下りた年月 | 耐震基準 |
| 1981年5月31日以前 | 旧耐震基準 |
| 1981年6月1日以降 | 新耐震基準(現行) |
| 2000年6月1日以降 | 2000年基準(木造のみ) |
耐震等級とは?耐震基準と違うの?

『耐震等級』というのは建物の耐震性能を3段階で表した指標のことで、住宅性能表示制度によって評価される項目のひとつ。耐震等級1がもっとも耐震性が低く、等級が上がるほど耐震性が高いと判断できます。
では、住宅性能表示とは何なのかというと、2000年(平成12年)4月に施行された『住宅の品質確保の促進等に関する法律』(=品確法)に基づいて運用される、住宅性能に関する共通ルール。第三者機関による客観的な評価を受けることで、その品質が保証されます。
耐震等級ごとの耐震性能は、以下の通り。
| 耐震等級 | 耐震性能 |
| 耐震等級1 | ①数百年に一度発生する(震度6強から7程度の)地震に対して、倒壊・崩壊しない。 ②数十年に一度発生する(震度5強程度の)地震に対して、損傷しない。 ※震度については東京都での地震発生を想定 |
| 耐震等級2 | 上記①の地震の1.25倍の力に対して、倒壊・崩壊しない。 上記②の地震の1.25倍の力に対して、損傷しない。 |
| 耐震等級3 | 上記①の地震の1.5倍の力に対して、倒壊・崩壊しない。 上記②の地震の1.5倍の力に対して、損傷しない。 |
耐震等級と耐震基準の関係

建築基準法で規定されている現行の耐震基準(新耐震基準)は、耐震等級1に相当します。
つまり、法律で定められた最低限の基準。

建物の用途によっては構造耐震判定指標の割増しが必要で、たとえば地方公共団体が避難所として指定する施設(学校・公民館など)は、現行の耐震基準に対して1.25倍の割増しを、防災拠点となる施設(病院・消防署・警察署・市庁舎など)については1.5倍の割増しを行います。
つまり、耐震等級2は避難所となる施設と同等の、耐震等級3は防災拠点と同等の強度を有していることになり、耐震等級3の住宅であれば在宅避難も可能であると考えられます。
それに対、耐震等級1の建物は、最初の揺れに耐えたとしても、2度目の大きな揺れに耐えられるとは限りません。一刻も早い避難が求められます。
家を建てるときに考慮すべきこと

これから住宅を新築される方は、長期的な視点をもって耐震等級を選択しなければなりません。
たとえば、繰り返す揺れで自宅が大きな損傷を受けた場合に、身を寄せる場所があるのかどうか。小さな子どもや高齢者、ペットなど、避難が困難な家族がいないかどうか。
建築コストは耐震等級が上がるにつれて増加しますが、地震大国日本において、それは将来への投資でもあります。
だからといって、一生のうちに身近で起こるかどうかもわからない大地震のために大金はかけられない、万が一のことがあれば避難するし、住み替える場所もしくは資力があるというのであれば、必ずしも高耐震にこだわる必要はないのかもしれません。
家族の安全を守るため、耐震等級の選択は慎重に。建築業者任せにするのではなく、自ら情報を集め、理解した上で選択することが大切です。
執筆者プロフィール
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二級建築士/宅地建物取引士
» 建築設計事務所にて、確認申請や意匠・構造を含む実施設計図の作成、構造計算等の実務に従事。
» CADオペレーターとして公園設備や保育施設、土木現場、化学工場など、住宅以外の幅広い分野を経験。
» 建設会社の住宅部門にて、建築家との協働による注文住宅の営業を担当。お客様と建築家の間に立ち、設計の意図を伝え、暮らしの希望を形にする仕事に携わるなかで、「住宅について本当に知りたいことと、世の中に出回っている情報のあいだには、大きなズレがある」と感じるようになる。
その後、フリーの住宅ライターに転身。現在は合同会社カメレオン企画の代表として、住宅・建設業専門のコンテンツ制作に携わるほか、建築専門書籍の編集・リライトも手がける。
「住まいの内緒話」は、設計も営業も経験した住宅の【中の人】が、売る側の都合ではなく、住む人の目線で書く住宅メディアです。ネットに溢れる情報の「それ、本当?」に、できるだけ正直に答えていきたいと思っています。
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