新緑がまぶしい5月。”外とつながる暮らし”が、より心地よく感じられる季節。
庭があると、住まいの楽しみ方はぐっと広がります。家の中だけで完結しない、もうひとつの”暮らしの舞台”として、庭づくりを考えてみませんか?
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あなたが思う「庭のある暮らし」は?

朝起きたら、まずカーテンを開ける。大開口の向こうに広がる、庭。伸び伸びと枝葉を広げる植栽とウッドフェンスの、美しいコントラスト。
豆から挽いたコーヒーをお気に入りのマグカップに入れ、庭のデッキの上で飲む時間。午前中は、裸足で芝生を駆けまわる子どもと一緒に思いきり外遊び。スヌーピーの敷物の上で手作りのサンドウィッチを食べたら、そろそろおネムの時間――。
子どもがお昼寝している間に、深い軒の下、デッキでのんびり読書をしたり、Netflixでドラマを観たり。これからの季節はBBQや水遊び、花火なんかも楽しめそう。
だけど、理想どおりのおしゃれな庭をつくるにはどうしたらよいのでしょうか?
あなたとご家族にとって”心地よい外の空間”とは、どういうものなのか。見た目の美しさだけでなく、日々の使いやすさや手入れのしやすさまで含めて考えることで、長く愛せる庭のある住まいが実現できるはずです。
ウッドデッキとタイルデッキ、わが家はどっち?

おしゃれな庭に欠かせないのが『デッキ』の存在。デザイン性や使い方、機能性など、多角的に見てわが家に合ったデッキを選びましょう。
やさしい雰囲気のウッドデッキ
木の温もりが魅力のウッドデッキは、そこに存在するだけで庭がやさしい雰囲気に。裸足でウロウロして、縁側みたいに腰かけたり、ゴロンと横になったり、子どもがおもちゃを広げて遊んだり。家の中にいるのと近い使い方ができる、青空リビング。
経年変化を楽しみたいなら、天然木のウッドデッキ。ただし、設置は日当たりと風通しがよい場所に。深い軒で、できるだけ雨も避けましょう。数年に一度は塗装し直すなど、定期的なメンテナンスも必要です。人工木でも、天然木の風合いは十分感じられます。メンテナンスの手間も軽減できますが、タイルデッキに比べると汚れが目立ちやすいので小まめなお手入れを。
スタイリッシュなタイルデッキ
タイルデッキなら、庭をモダンな雰囲気を演出できます。掃除のしやすさと耐久性の高さが最大の特長で、汚れてもデッキブラシで水洗いできるため、バーベキューをしたり、子どもが水遊びをしたり、しゃぼん玉を飛ばしたり、外遊びを存分に楽しめます。鉢植えのグリーンや寄せ植えを飾りたい方にもぴったりです。
色や質感のバリエーションも豊富で、白やベージュ系のタイルなら明るく開放的な印象に、グレー系なら落ち着いた雰囲気に。ただし、タイルデッキはコストが高くなる傾向にあるので、予算的に難しい場合はモルタル仕上げを検討してみては?
グランドカバーは芝?それとも砂利?

デッキの先に広がる庭の足元をどう仕上げるかで、庭の表情と使い勝手は大きく変わります。
子どもが思い切り遊べる芝生
芝生の庭なら、子どもが裸足で駆けまわっても大丈夫!春から秋にかけての青々とした芝生は、眺めているだけでも気持ちが安らぎます。
ただし、美しい芝生を保つには定期的な芝刈りや水やり、雑草取りが必須です。とくに夏場は週に一度の芝刈りを。趣味の一環で、お手入れも含めて庭づくりを楽しめる方におすすめです。庭の手入れに時間をかけられないという場合は、人工芝という選択肢も。最近の人工芝は見た目も自然ですし、一年中緑を保てるのもメリット。初期費用はかかりますが、長期的に見ればメンテナンス費用を抑えられます。
雑草対策なら砂利や固まる土
雑草対策なら、砂利敷きや固まる土という選択肢があります。
砂利は排水性もよく、色や粒の大きさによって庭の印象も変わります。白い砂利なら明るく上品に、黒やグレーの砂利ならシックで落ち着いた雰囲気に。植栽や屋外家具との組み合わせで、洗練された庭空間をつくれます。歩く際の音が気になる場合は、アプローチ部分だけタイルや平板を使い、植栽まわりに砂利を配するなど、使い分けるのもひとつの方法です。逆に、1階に寝室がある場合は音の出る砂利を窓まわりに敷いて、防犯対策を。
固まる土は、土の自然な風合いを残しながら雑草を防げる優れもの。透水性があるため水たまりもできにくく、歩きやすいのも特徴です。ただし、経年劣化でひび割れすることがあり、部分的な補修が必要になる場合があります。
庭は土のままでもいい!
足元の仕上げを選ぶ際は、見た目の好みだけでなく、お手入れにどれだけの時間をかけられるのかも考慮に入れましょう。そして、もうひとつ大切なのはコスト。
砂利なら比較的安価なので広範囲に敷くことができますが、芝や人工芝、固まる土でグランドカバーするにはそれなりにコストがかかります。
だから、もし定期的に草むしりをする時間の余裕があるのなら、庭は土のままでもOK!
野性味のある植栽や雑木を組み合わせて、風情ある庭に仕上げてみてください。少しくらいの雑草も、味になります。
おしゃれな庭は動線と視線がカギ

庭は、それ単体でつくったのでは意味がありません。おしゃれな庭に見せるには、リビングやキッチンとのつながりを意識してデザインしなければなりません。
たとえば、キッチンに立ったときに庭がどう見えるか。ダイニングで食事をしているとき、リビングのソファに座ったとき、庭がどう見えるか。部屋とひと続きにウッドデッキが広がり、その向こうに緑の植栽が枝を伸ばす。その隙間からチラチラと見える、ウッドフェンスの木質感。
空間のつながりを重視するのであれば、リビングの床とデッキを同面(段差がない状態)に施工するとよいでしょう。デッキの色や質感をリビングの床に合わせ、大開口で視線が抜けるようにすると、より統一感が出ます。
奥行きを演出するなら、手前に低い植栽、奥に高い植栽を配置する”借景”の手法が効果的。小さな庭でも広がりを感じられます。窓から見える庭の中央ではなく、少し端にシンボルツリーを植えることで、視線に動きが生まれますよ。
わが家にもうひとつのリビングを

注文住宅を計画するとき、どうしても間取りやインテリア、住宅設備に目が向きがちですが、庭にも少し目を向けてみてください。リビングでくつろぐように、庭をくつろげる空間に仕上げることで、外で過ごす時間も増えるはず。そして、毎日がもっと豊かになるはず。
庭づくりに正解はありません。大切なのは、あなたの家族にとって“使いやすく、心地よい”庭であること。家を建てたあとで、自分たちで木を植えたり、砂利を敷いたりしてもよいのです。
家族とともに成長する庭を、ぜひ家族みんなでつくってみてください。